【Vol.154春号】水周りの感染対策
手洗いシンクや洗浄室などの水周りでは、湿潤環境を好むセラチア菌や多剤耐性緑膿菌の温床となります。水周りの管理ができていないと、清潔物品への汚染や手指を介した病原菌の拡大といった医療関連感染が発生する原因ともなるため、感染対策が重要です。
【ツボ1】清掃と乾燥
シンクとその周囲には病原菌を含む汚れが付着しています。汚れを除去するための清掃と、拭き取りによる乾燥を1日1回以上実施します(写真1)。シンク内だけでなく、乾燥に用いる水きりかごや食器乾燥機なども定期的に清掃することが必要です。
【ツボ2】スポンジの管理
スポンジの使用後は、よく洗浄し乾燥させることが基本です。スポンジは病原菌に汚染されているものと認識し、スポンジで洗浄した器具はよく水洗いし乾燥させることが重要です。(経管栄養用具や吸入用具などは、洗浄後に次亜塩素酸ナトリウム溶液などによる消毒工程が必要です)
スポンジの交換頻度にエビデンスはありませんが、施設の状況に応じて定期的な交換やスポンジの汚れ・傷みの程度により交換することをマニュアルに記載していくことが必要です。スポンジを、乾燥しやすいネットタイプ(写真2)や使い捨ての不織布へ変更することも検討材料です。
【ツボ3】周囲の整理整頓
洗浄時の水はねは、周囲の環境や物品に病原菌を付着させる原因となります。水はねによる汚染防止や清掃のしやすさを目的として、シンク周囲の整理整頓や保管・設置場所の変更などを行います。
水はねに気をつける物品
- 点滴や薬品カート
- 点滴作成台
- 滅菌物や清潔な医療材料
- 浸漬消毒容器
- 水切りカゴや食器乾燥機
- ペーパータオル
- 個人防護用具
- 回診車 など
用手洗浄物の見直し(本当に手洗いが必要か、再使用が必要か)や、洗浄業務の中央化などの根本的な見直しが、水周りの環境改善や業務の効率化につながることもあります。
東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。