スタッフステーションは、清潔なものと不潔なものとが混在し交差感染を起こしやすいエリアです。スタッフステーションを見ると、その部署の感染対策に対する意識レベルをうかがうことができます。
【ツボ1】OA機器、ME機器
スタッフステーションの中でも、特に菌が検出されやすいのは電子カルテのパソコンです。患者や病室環境に触れた後、手指衛生を行わないままパソコンに触れることで、患者由来の病原菌が付着し感染源となってしまいます(写真1:パソコンのキーボードの細菌培養。ブドウ球菌や緑膿菌、腸内細菌を検出)。手指衛生を行い病原菌の移動を防ぐとともに、患者巡回後や勤務終了時には環境清拭クロスなどで、パソコンのキーボードやマウスを清掃・消毒します。また、ナースコール操作パネルや心電図などのセントラルモニターも、スタッフが高頻度に接触する機器のため、パソコンと同様に病原菌による汚染を受けています。
OA機器、ME機器のコードは、上手に整理整頓できていないとホコリがたまりやすく、清掃がしにくくなります。特に、機器の裏側や床に這ったコードにホコリがたまっているのを見かけますが、機器の故障や発火の危険性だけでなく、病原菌の温床にもなります(写真2)。コードは束ねて床から離しておくことや、コードケースの使用などが清掃をしやすくするポイントです。
【ツボ2】患者に使用後の物品
多くの施設では、処置で使用したガーゼや点滴などの医療材料や、セッシや膿盆、吸引瓶などの物品がスタッフステーションを通過します。すぐに廃棄や再処理ができず、ワゴンやデスクの上に置き忘れることがあれば、清潔な物品への汚染やスタッフへの針刺し事故が発生する原因になります。使用後の物品の置き場所を決めておくことや、針などの鋭利なものはすぐに廃棄するなど、ルール作りと日々の指導が必要です。
【ツボ3】輸液調整台
輸液調整台は血管内に投与する輸液を取り扱うため、最大限の清潔操作が必要になる場所です。そのため、輸液調整前にはアルコール等で清拭消毒し清潔にしておくことが重要です。清潔が保持できるよう整理整頓を心がけ、輸液調整に必要のない物品は置かないようにします。また、輸液調整後は台の上に輸液が飛散していることがあります。水分や栄養素が病原菌繁殖の原因となるため、輸液調整後もアルコール等で清掃しておくことが必要です。
輸液調整台の設置場所も、感染対策上の注意が必要です。近くにシンクがある場合、水はねによって台が緑膿菌やセラチア菌に汚染されてしまうため、双方のあいだはできるだけ距離をとるようにします。また、空調の排気口やエアコンの吹き出し口が輸液調整台に上にある場合は、ホコリとともに病原菌も落下します。台の位置の変更や、排気口や吹き出し口の清掃頻度を増やすなどして対応します。(写真3)
(編集:東予感染管理サークル)
東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。