新型コロナウイルス感染症対策において、『接触予防策』『飛沫予防策』の用語が頻回に出てきますが、特別に難しく考えることはありません。標準予防策の徹底を基本としたうえで、病原体の感染経路に応じて必要な対策を追加すれば、新型コロナウイルスやインフルエンザ、耐性菌やノロウイルスも怖くありません。
【ツボ1】標準予防策
『感染症の有無や病態にかかわらず、血液、体液、汗を除く分泌物、排せつ物、傷のある皮膚、粘膜には感染の可能性があるものとして対応する』を基本概念とし、すべての対象者に以下の対策を実施します。

- 手指衛生
:手指消毒や手洗いを、必要なタイミングで実施する。未実施の手で目や鼻、口に触れない。 - 個人防護具
:血液や体液などに触れる、あるいは飛散する場面では着用する。脱いだ後は手指衛生を行う。 - 呼吸器衛生/咳エチケット
:咳やくしゃみなどの呼吸器症状がある者はマスクを着用し他者との距離をとる。 - 病室管理
:病室を決定するときは、病原体の伝播を考慮する。伝播リスクのある患者は個室で管理する。 - 患者ケアに使用した器材の取り扱い
:血液や体液で汚染された器材の取り扱いを定める。 - 環境管理
:手が触れる頻度に応じて、環境表面の清掃手順を定める。 - リネンの取り扱い
:周囲へ汚染させないように取り扱う。
その他、安全な注射手技(無菌操作や単回使用)、腰椎穿刺における感染対策(サージカルマス着用)、労働者の安全(針刺し・切創、粘膜曝露予防)などがある。
【ツボ2】接触予防策
ヒトや環境に触れることで伝播する病原体に対して適用する感染対策です。新型コロナウイルス、薬剤耐性菌、ノロウイルスなどが対象です。

- 病室管理
:個室隔離とする。個室隔離ができない場合は、同一微生物による感染者の同室管理とする。 - 個人防護具
:接触状況により手袋やエプロン・ガウンを着用するが、病室を出る前には廃棄する。 - 患者移送
:最小限とする。病室から出る場合は、感染部位を覆い周囲への汚染を防ぐ。 - ケアに使用する物品
:血圧計や聴診器などは患者専用とする。やむを得ず共有する場合は使用毎に消毒する。
【ツボ3】飛沫予防策
咳やくしゃみ、会話などで発生する飛沫を吸い込んだり、眼球粘膜に付着することで伝播する病原体に対して適用する感染対策です。新型コロナウイルス、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、風疹などが対象です。

- 病室管理
:個室隔離とする。個室隔離ができない場合は、同一微生物による感染者の同室管理とする。 - 個人防護具
:患者から2m以内での医療行為時は、サージカルマスクを着用する。ただし感染経路が完全に解明されていない新型コロナウイルス患者に対して、エアロゾルが発生する検査・処置を行う場合にはN95マスクなどのレスピレーターを使用する。 - 患者移送
:病室から出ることを制限するが、やむをえず出るときはサージカルマスクを着用する。
ユニバーサルマスキング
新型コロナウイルス感染症では、症状出現の2日ほど前からウイルスを排出している可能性が指摘されています。そのため、無症状あるいは症状が軽微な職員から他者への感染を防ぐために、すべての職員が院内ではサージカルマスクの常時着用(ユニバーサルマスキング)を検討することが学会より提示されています。
【参考資料】 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第3版 2020年5月7日発行(日本環境感染学会)
(編集:東予感染管理サークル)
東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。