患者・家族から、「(薬・食事などが)いつもと違う」と訴えてこられたことはありませんか?
このような疑問を「そのようなことはありません」と否定したためにトラブルになった事例があります。
もしかしたら、患者・家族の疑問が正しいのかも。患者は、「おかしい」「いつもと違う」と思いながらも、言い出せなかったり、「たぶん大丈夫だろう」と自らを納得させてしまったりと、せっかくの気づきを活用されずに事故に至ることがあります。
勇気を出して申し出ていただいたのだから、すぐに否定しないで、「その点については、確認してきます。少々お待ちください。」など、対応しましょう。
確認する場合は、思い込みを防ぐためにも出来るだけ2人で行い、「ただいま確認したところ、○○でした。」と返答し、間違いであれば直ちに対処しましょう。
「いつもと違う痛みがある」「いつもと様子が違う」と、患者・家族から言われたらどうしますか?状態の確認をしたところ、バイタルも検査値も異常が認められないので、「大した症状ではない」「検査値は大丈夫だから、そんなはずはない」「大げさに言っているのかも」と思ってしまうことはないでしょうか。
こういった軽視・無視・蔑視した訴えの中に、真実が隠れていることがあります。これを見落としたためにトラブルになり、訴訟になった事例が報告されています。
患者・家族は『真実』を訴えて(報告して)いるのかもしれません。訴えは真摯に受け止めましょう。
日頃、看護やケアを行っていて、「あれ?いつもと違う?」と疑問に思うこと、経験ありますよね。
患者の身体的・精神的変化はもちろん、薬・物の違いや、音・光・臭いなどの感覚的な違いだったりすることも。小さな変化や些細なことほど、『気のせい』『記憶違いかも』『きっと知らないうちに変わったんだ』など、自己解決してしまうことがあります。
「いつもと違う」という「気づき」が早期の異常発見につながり、起こりうる危険を見通すことで事故を未然に防ぐことにもつながります。
経験、正しい知識、患者を理解しようとする姿勢、チームワークなどが「気づき」を生み出す力になります。「いつもと違う」と感じる感性(センス)を大切にして、危機回避に努めていきましょう。
異常の第一発見者は、普段使用している人・経験している人です。もしかすると、患者のほうがいち早く気付くかもしれません。
「いつもと違う」には、危険が潜んでいる場合があるため要注意です。患者も家族も職員も、気兼ねなく「いつもと違う」と声を出せる環境でありたいですね。
(文責 武田千代)