「エラー」とは失敗のことですが、実は医療上のエラーも、ほかの産業分野で発生するエラーと何ら変わることはないのです。
人間は誰でもどこでも間違える動物なのです。
医療上のエラーが重大になるのは失敗が起きた時に苦しむのは患者であるという点です。
インシデント報告が安全をつくる
エラーから学ぶためにはいろいろなエラーを集める必要があります。医療組織で働く人間が自らエラーや安全上の問題を気兼ねなく報告できればその組織はエラーから学ぶ環境が整っていると言えるでしょう。組織文化とそこで診療を受ける患者との間には相関関係があると考えられています。つまり多くのインシデント報告がある組織はより安全な医療組織なのです。
インシデントが発生した場合は通常はその当事者が報告しますが、報告は発見者でもかまいません。すべては患者のために誰でも必要を感じた人が報告すれば良いのです。
報告内容は「いつ・どこで・誰に・何が起こったか」という事実の正確な記載が必要です。
①エラーのリスクが高まる状況

- 経験不足:当然ながらやったことのない仕事は高リスクである
- 時間不足:焦って途中の作業を省略する
- 不適切な点検:点検という単純作業がいい加減になる
- 手順の不手際:準備不足、人手不足、注意不足は高リスク
- 不適切な情報:手書きが読めるか、 口頭で正しくわかるかが問題
- 人間の記憶力には限界がある
- 空腹や疲労、寝不足の状態、精神的ストレスでも実力が発揮できない
②人間の注意力の特性
1.注意力は持続できず(注意・不注意のリズム) → 不注意に危険要因、不安全行為が重なれば事故
2.関心のある物には注意が向く → 危険要因を認識
3.強い注意を向ければ、注意の範囲は狭くなる → 第三者の客観的なチェック
4.強い注意のあとに弛緩 → 注意作業直後の行動が危険
③エラーをへらす戦略

- 記憶に頼らないようにする
- プロセスを単純化する
- 一般的な手順を標準化する
- チェックリストを日常的に使用する
- 警戒心を過信しないようにする
- 知らないことは質問する
- チーム間のコミュニケーションをはかる
- 患者、家族に情報提供を確実にする
人間の特性を知り、エラーから学ぶ(*^。^*)
知らないことは知らないと言う素直さ♡
わからないことはわからないと言う勇気☝
そして患者を守る、自分を守る
そのためにエラーから学ぶ
他人のエラーをわが身に置き換える、それが大事!!
さあ、患者安全に向かってGo❢
参考文献「WHO患者医療安全カリキュラム」
(文責 橋本 樹子)