2015年1月厚生労働省により、2025年の認知症患者は、現状の1.5倍となる700万人を超えるとの推計を発表されました。65歳以上の5人に1人が認知症の割合になります。これにMCI患者(軽度認知障害)を加えると、約1300万人となり、65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍といえることになりそうです。
1.認知症とは
種々の原因疾患により認知機能が低下し、生活に支障がでている状態(6カ月以上継続している状態)をいいます。認知症の主な原因疾患として、以下の4つが挙げられます。
- アルツハイマー型認知症
- 血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
このうちアルツハイマー型認知症が約60%、血管性認知症が20%を占めています。
2.認知症の中核症状には
- 記憶障害
- 見当識障害
- 判断力の低下
このような症状が、入院・入所という環境の変化の影響を受けて増悪してしまう場合があります。
『徘徊』もその影響の一つであると考えられます。
「自分のいる場所がわからない」「自分がいるべき場所はここではない」といった理由からひとりで歩きまわってしまう。近年、認知症患者が徘徊で行方不明になるケースが急増しており病院・施設にとっても大きな問題となっています。
『徘徊』の予防策は?
- トイレは時間を決めて誘導しましょう。
- 可能な範囲で歩かせてあげましょう。
- 院内デイサービスの利用なども検討してみましょう。
離院・離棟などの発生が多い時間帯は?
6~7時、14~15時、18~19時などのスタッフが忙しく、人手が手薄な時間帯が多いといわれています。
離院・離棟前の行動はどうでしょうか?
「気になる行動があった」など何かしらのサインがあることが多いです。
『徘徊』という行動には、目的があって歩きまわっているのが大半です。
無理に止めようとすると怒りだしてしまうことがあるため、認知症の方の行動を理解することが大切です。
3.離院・離棟予防対策として
- 離院・離棟の恐れがある認知症患者の靴に蛍光テープを貼り、スタッフ全員で声掛けをする。
- 特徴を掲載したチラシ(顔写真入りポスター)を作成し、受付にも協力してもらい出入口でチェックする。
- 徘徊防止センサーの導入
人がモニターに近付くとアラームで知らせる
キー(タグ)を持った人がモニターに近付くとアラームで知らせる。 - 顔認証徘徊防止システムの導入
少ない人数でも効率的に患者の徘徊を防ぐことができるため、今後ますます注目が高まると思われます。
これらは、離院・離棟対策の一部です。自施設の環境、状況に応じた対策を検討してみてください。また、実施される前には必ず、ご家族に説明し同意を得てから行いましょう。
(文責 続木美紀)