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感染対策のツボ:新型コロナ変異ウイルス

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看護の知恵袋:感染対策のツボ新型コロナ変異ウイルス

【Vol.168秋号】2021年10月25日

2021年7月より、全国で新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加しましたが(第5波)、その要因の一つとしてデルタ株変異ウイルスの存在がありました。今後も新しい変異ウイルスへの置き換わりがすすむことで、感染者数が変化することも考えられます。今回は変異ウイルスについて紹介します。

【ツボ1】変異の仕組み

ウイルスは単純構造の微生物のため、他の生物の生きた細胞の中でしか増殖できません。一般的に増殖と流行を繰り返す中で、ウイルスは少しずつ変異していきます。新型コロナウイルスも約2週間に1回程度の速度で変異していると考えられています。

ウイルス表面にある突起(細胞内侵入への関与や、抗体が結合する部分として重要)のタンパク質が変化することで変異がおこり、感染力やワクチン効果に影響が出てきます。主な変異の3つを紹介します。

N501Y変異

タンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)へ変化したもの。
突起が変化し細胞内へ侵入しやすくなる ⇒ 増殖しやすい ⇒ ウイルス量増加 ⇒ 従来株より感染しやすくなる可能性がある。

E484K変異

タンパク質の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)へ変化したもの。
突起が変化し抗体が結合しにくくなる ⇒ 従来株より免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。

L452R変異

タンパク質の452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)へ変化したもの。
HLA-A24(白血球の型)がウイルスを認識する部位が変化し、免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。HLA-A24は日本人の6割が保有している型のため、国内での流行が懸念されている。

【ツボ2】変異ウイルスの特徴

(2021年8月20日時点)

変異ウイルス名 主な変異 特徴
アルファ株(イギリスで発見) N501Y 感染力が増強。
ベータ株(南アフリカで発見) N501Y、E484K 感染力が増強、ワクチ効果が低下。
ガンマ株(ブラジルで発見) N501Y、E484K 感染力が増強、ワクチン効果が低下。
デルタ株(インドで発見) L452R ワクチン効果や抗体療法への影響が考えられる。
他の変異株より、体内のウイルス量が多く、ウイルス排出期間も長いことが報告されている。
ラムダ株(ペルーで発見) 7つの部位が変異 感染力の増強、ワクチン効果の低下が予測される。

【ツボ3】変異ウイルスの感染対策

変異ウイルスに対しても基本的な感染対策は変わりません。ただし、これまで以上に感染しやすくなると考えられますので、手指衛生、マスク着用、三密回避、換気、体調管理は徹底して続けることが求められます。

ワクチンは変異ウイルスにより効果が低下することも懸念されていますが、現時点では感染や発症、重症化の予防に有効な手段と考えられています。

(編集:東予感染管理サークル)

東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。

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