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感染対策のツボ:新型コロナウイルス感染症の薬物療法

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看護の知恵袋:感染対策のツボ新型コロナウイルス感染症の薬物療法

【Vol.169新春号】2022年3月3日

2021年春から新型コロナウイルスワクチンの接種がスタートしたことにより、発症や重症化の予防効果が一定程度ありました。しかし、発症時には、重症度等により治療を行う こともあります。今回は、国内で承認されている主な治療薬について紹介します。(2021年11月15日時点)

【ツボ1】重症度別の主な治療薬

新型コロナウイルス感染症の治療内容は重症度に応じて異なり、それぞれを単独または併用で行います。重症度は発症からの日数、重症化リスク因子、合併症などを考慮して、繰り返し評価することが重要とされています。

カシリビマブイムデビマブ(商品名 ロナプリーブ):中和抗体薬

2種類の中和抗体からなるため、抗体カクテル療法とも言われます。ウイルス表面の突起(タンパク質に)に結合し、ウイルスが細胞内に侵入するのを妨害します。重症化リスク因子を有する軽症・中等症者だけでなく、無症状の病原体保有者、濃厚接触者も投与対象とされています。
投与によりInfusion reactionアナフィラキシーを含む過敏症発現の可能性があるため、患者の状態を十分に観察することが重要です。

ソトロビマブ(商品名 ゼビュディ):中和抗体薬

SARS(重症急性呼吸器症候群:ベータコロナウイルス属による感染症)に感染した患者から得られた抗体が基になっています。作用や投与時の注意点はカシリビマブイムデビマブと同様です。

レムデシビル(商品名 ベクルリー):抗ウイルス薬

もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されたものです。ウイルスのRNAを合成するポリメラーゼという酵素の働きを阻害し、ウイルスの増殖を妨害します。適応は新型コロナによる肺炎を有するものとされていますが、交流量の酸素投与や挿管に至った重症例では効果が期待できない可能性があります。
投与によりInfusion reactionアナフィラキシーを含む過敏症の発現、腎機能障害や肝機能障害の可能性があるため、患者の状態を十分に観察することが重要です。

デキサメタゾン(商品名 デキサート等):ステロイド薬

重症者では全身性炎症反応により肺障害や多臓器不全を合併しやすくなります。コルチコステロイドの抗炎症作用により、有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されています。

バリシチニブ(商品名 オルミエント):ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

国内では関節リウマチに適応のある薬剤です。ウイルス感染により炎症性サイトカインが過剰分泌(サイトカインストーム)され、全身の血管や臓器に障害を起こすことがあります。本剤はこのサイトカインによる伝達経路を阻害し、炎症を抑制する作用があります。

【ツボ2】これからの感染対策

国内外の製薬会社が経口薬の開発をすすめており、私たちの生活にも少しずつ変化が出てくるかもしれません。しかし、治療薬が優れていたとしても、感染症を発症すると私たち自身が感染源となることや、治癒後も長期にわたり後遺症に悩まされる可能性もあります。手指衛生や咳エチケット、三密回避、換気、体調管理などの感染対策を習慣化し、新しい生活様式として定着させていきましょう。

(編集:東予感染管理サークル)

東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。

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